SynologyのNASには「Surveillance Station」というIPカメラの管理パッケージ(ソフトウェア)があります。IPカメラの録画やライブビュー、機種によっては侵入検知・記録を行えるものもあります。
今回はSurveillance Stationの集中管理システム「CMS」というアプリケーションを用いた遠隔地のカメラを含むカメラ管理の設定を行います。
※DSMのパッケージにもCMSがありますがそちらとは異なります。当記事は「Surveillance Station」というパッケージ内のアプリケーション「CMS」の設定一例の解説となります。
WindowsOSの言語設定ではなくWindowsOSにインストールされたソフトウェアの言語設定みたいな感じです。
余計に混乱させてしまっていたらすみません。
こんな悩みにオススメ!!
- 他拠点のカメラを集中管理したいがVPN環境が無い
- 一つのモニターに複数拠点のカメラを表示したい
- ライブビュー等で録画用NASのCPU等のシステムリソースに負担をかけたくない
検証環境
機器構成
・ホストサーバー兼録画サーバー:DVA1622(機器名:MAINNVR)
こちらのNASでライブビューを行います。ライブビューを行いたい拠点にあるNASやCPUなどのスペックが高いNASを選択すると良いです。
DVA1622ではPC・VS360HDでライブビューを表示する際に10台以上で表示しても反応が遅く感じることはありません。
・録画サーバー:NVR1218(機器名:BASE01NAS)
録画用サーバーではライブビューは行わないことを前提とするならばホストサーバーよりもCPUなどのスペックが低いものも選択することができます。
NVR1218ではPC・VS360HDでライブビューを表示する際に4台以上で表示すると反応が遅く感じます。
※VS360HD:SurveillanceStationを表示するためのSynology製品です。PCで開く際はWEBブラウザで開くため、停電や再起動をすると手動でSuveillanceStationを開きなおす必要がありますが、VS360HDは一度設定をすれば再起動をしても自動でライブビューを開いてくれます。
設定
2台ともカメラの録画設定済みです。また、QuickConnectの設定もしております。
ネットワーク
上記2台のNASは別拠点に設置されているため別ネットワークとなっております。
CMSの設定
インストール
インストールはホストサーバーと録画サーバー共に行います。
SuveillanceStationを開き、SuveillanceStationの[アプリケーションセンター]を開きます。
アプリケーション画面より[CMS]を探し、[インストール]をクリックします。検証環境ではデフォルトでインストールされており、停止となっていたため[実行]をクリックしました。
CMSをインストール・実行するとアプリケーションの一覧に追加されます。
設定
CMSを開き、[詳細]をクリックすると[ペアリング設定]の画面が表示されます。
ここではサーバーの動作モードを指定します。
今回は、ホストサーバー兼録画サーバーは[ホストサーバー]、録画サーバーは[記憶サーバー]を選択します。
改めてホストサーバーのCMSを開くと初期の状態より項目が増えます。ホストサーバーのCMSの画面より記憶サーバーのNASを追加していきます。
ホストサーバーCMS画面の[記憶サーバー]内の[追加]をクリックします。
サーバー選択画面の[手動で追加]をクリックします。
[手動で追加]の画面では追加したい記憶サーバーの[IPアドレス・FQDN]か[QuickConnectID]を選択し接続することができます。今回の環境ではVPN等が無くIPアドレスでは到達できないためQuickConnectIDを利用します。(QuicckConnectIDを利用する場合はDSMのコントロールパネルからQuickConnectを有効にします。)
QuickConnectIDを入力し、右下の[追加]をクリックします。
サーバー選択画面に戻るとサーバーが追加されているので右の[認証]をクリックし、追加したいサーバーにチェックを付け、管理者アカウントを入力し、右下の[認証]をクリックします。
ホストサーバーのCMSの記憶サーバーの一覧に対象のNASが表示されていれば設定完了です。
ライブビュー設定
ホストサーバーのモニターセンターを開くと[デバイス&ツール]の欄に[ローカルホスト]と[BASE01NAS]が表示されています。
[ローカルホスト]がホストサーバーのDVA1622(MAINNVR)、[BASE01NAS]が他拠点の記憶サーバーのNVR1218となっております。
ライブビューしたいカメラを右側に追加し、レイアウトを完成させます。
ホストサーバーと記憶サーバーのカメラを一つのレイアウトに設定することができます。
最後に
弊社でもSynologyを利用して社内カメラの録画を行っておりましたが、在宅勤務が増えたことで社内の在席確認でSurveillanceStationのWEBUIを利用するユーザーが増えました。
その関係でNASへのアクセスが増え、NVR1218への負担が増えていました。
検証でDVA1622を利用しており、こちらでリソースの肩代わりができないかと考えた結果今回のようなCMSを利用した拠点間のカメラの一元管理にたどり着きました。
リソースの肩代わりだけではなく、VPN等に頼らずにSynologyの機能のみで他拠点のNASを集中管理ができる点も非常に便利です。
DS・RSシリーズでもカメラ録画は可能ですが、DVAシリーズ(旧NVRシリーズ)はカメラの管理に特化したモデルとなっており、カメラの登録ライセンスが無償で8個ついております。
また、[Deep Video Analytics]等DVAシリーズ専用のアプリケーションもあります。
カメラ録画用にNASの導入をお考えの方にはDVAシリーズがお勧めです。