RAID F1の機能紹介

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RAID F1

ストレージのRAIDに「F1」という構成が存在することをご存じでしょうか。
RAIDについての知識を持っている人でも聞いたことがないと思います。
私も聞いたことがありませんでした。
文字のイメージから「なんか速そう」、みたいな感覚ですが速さを追及した機能ではなく
安全性・可用性を考慮したSSD専用のRAIDなのです。

RAID F1」はSynology独自のRAIDで、Synology NASで可能なRAID構成です。

未対応のモデルもありますので、Synologyの製品ページにて
「ソフトウェアの仕様 対応するRAIDタイプ」にRAID F1の記載があるかご確認ください。

現在、弊社内でもRAID F1構成のファイルサーバを利用しており
お客様先でもRAID F1構成のオールフラッシュ(SSD)ファイルサーバの導入実績が多数あります。
高速なファイルサーバーを利用したいなどのご相談は こちら からおねがいします。

RAID F1とは何なのか

RAID F1について先にまとめます。

SSDの寿命を考慮して、すべてのSSDドライブが同時に寿命が切れるのを防ぐSSDストレージ専用のRAIDです

RAID F1とはRAID 5をベースにした構成で、最小構成はSSD3本。
そのためSSD1台の故障までならRAID内のデータを保持することができます。

SSDの特性を考慮したRAID構成
SSDには「書込みの寿命」がある為、同時に寿命が尽きる可能性がとても高くなります。
そこで上記の特性に対抗する為、RAID F1の登場です。

 推測になりますが(SSD3本をRAID 5構成にしたら)
  SSDの1本目が故障、3時間後にSSDの2本目が故障、さらに5時間後にはSSD3本目が故障
  こんな悪夢があるかもしれません。
  まして休日中に3本の寿命が尽きたら、即システムダウンです。

RAID F1はSSD専用です。HDDでも設定はできますが意味がありません。

以降は仕組みのお話。

RAID F1とRAID 5の違い

RAID 5と違う点は各SSDの消耗の差です。

RAID F1では複数入っているディスクのうち、特定のディスクの書き込み量を増やすことで他のディスクより消耗を加速させます。
(他のディスクの書き込み量を肩代わりするイメージです。)

消耗をわざと加速させるなんてデメリットのように思えますが、これが同時に書き込み回数の上限に達するのを防いでくれます。

SSDは仕組み上、書き込み回数に上限が存在します。上限に達するといつ壊れてもおかしくない状態となります。

RAID5で使い始めた場合、各SSDが同時期に書き込み回数の上限に達し、複数のSSDが同時に壊れてしまう可能性が高いのです。

RAID F1の場合は特定のSSDの書き込み量を増やすことで同時期に書き込み回数の上限に達することが無くなるため、複数のSSDが同時に壊れてしまう可能性が低くなります。

つまり、SSDが同時に壊れるのを防ぐことでデータが失われる可能性を低くすることができます。

もちろん他のディスクへの負担はその分軽減されるのでディスクの交換本数が増えるわけではありません。

SSDの寿命確認 操作方法

SSDの寿命はSynologyNASのコンソールで確認できます。
[ストレージマネージャー]-[HDD/SSD]-[健康状態]

社内のNASを例に挙げます。運用開始して半年ですがSSDの寿命は100%でまだまだ減っておりません。

この寿命が1%になるとSSDが限界を迎え壊れてしまいます。

社内NASはRAID F1で構成しているのでのSSDの寿命に変化が出たら改めて記事にしたいですね。

RAID F1のお客様先パフォーマンス(RS1619xs+)

ハードウェア構成

本体:RackStation RS1619xs+(メモリー24GB)
SSD:Micronエンタープライズ向けSSD「5300 PRO」3.84TB
RAID構成:RAIDF1
スイッチ:メジャーメーカー ギガビットスイッチ
NAS LAN接続は2本でリンクアグリゲーション

測定結果

CrystalDiskMarkで測定
1GiBを指定しテスト回数は5回実施。

画面の
左側が「Read [MB/s]」読み込み速度
右側が「Write [MB/s]」書き込み速度
1秒間に何MBを「読み込める」か「書き込めるか」を表しています。

赤枠のランダムアクセスがとても早くなっています。
 ランダムアクセス:ランダムな領域に読み込み、あるいは書き込むこと

CrystalDiskMark測定結果

ちなみにリプレース前のWindows Server 2012R2のサーバの
パフォーマンスは以下の通り。

CrystalDiskMark測定結果

最後に

アクセススピードが早いSSDですが、複数のSSDドライブが同時期に壊れるのは避けたいですよね。

SSDにはデータの書き込み回数など決められた限界が存在するので、その時期をずらすことができるRAID F1はSSDで構成するうえでは無くてはならない存在です。

RAID F1、弊社内のファイルサーバでも利用しています。

高速なファイルサーバの導入、現行機からの移行などのご相談は こちら から

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