QNAP ファイル共有プロトコル(SMB)調べ [第1回]の続きになります。
今回はSMBのバージョン違いによるアクセス速度を簡易的に検証しました。
検証環境
QNAP-01
- モデル名:TS-219P Ⅱ
- CPU:Feroceon 88F6282 rev 1 (v5l) @ 2 GHz
- メモリ:512MB
- HDD:WD Red 2TB*2 [RAID-1]
- NIC:Gigabit Ethernet Adapter*2
- ファームウェア:4.2.1 Build 20160601
QNAP-02
- モデル名:TVS-863
- CPU:AMD GX-424CC SOC with Radeon(TM) R5E Graphics
- メモリ:8GB
- HDD:WD Green 3TB*7 [RAID-6]
Samusung SSD 850 EVO 500GB*1 [読み取り専用キャッシュ利用] - NIC:Gigabit Ethernet Adapter*2
- ファームウェア: 4.2.0 Build 20151118
検証機スペック
SMBバージョンの違いによる速度を検証するため、
Windows 7 [SMB 2.1 が上限]と、Windows 10 [SMB 3.1.1が上限]の2台を用意した。
仕事用に多いWindows 7 32bit と、リプレイス先の候補であろうWindows 10 64bitの2種類。
公平を期すため、デュアルブートでOS1、OS2が立ち上がる物理マシン環境にした。
クライアントOSの仮想化は行わない。
用意したPCは元々Windows Vistaが入っていた年代物に、評価版のOSをインストールしている。
- OS1:Windows 7 Enterprise 32bit
- OS2:Windows 10 Enterprise 64bit
- モデル名:Dell vostro 1510
- CPU:Intel Celeron 550 2.00GHz
- メモリ:2GB
- NIC:Gigabit Ethernet Adapter*1
ネットワーク構成
検証機の間にギガビットのスイッチを1個置いてQNAPへ接続する。至ってシンプル。
QNAP-01 —-Cat5e—- | スイッチ | —-Cat5e—- 検証機 [ Win7 | Win10 ]
QNAP-02 —-Cat5e—- | |
検証内容
QNAP側に共有フォルダを作成する。
検証機側はWindows 7 と、Windows 10の2パターンから、
QNAPのSMBバージョンがSMB 2.0 , SMB2.1 の際に、
アクセス速度に違いがでるのか(気になったので)検証する。
1.検証機から各QNAPの共有フォルダから、1GBのファイルをダウンロードする速度と時間の3回分の平均
2.検証機から各QNAPの共有フォルダへ、1GBのファイルをアップロードする速度と時間の3回分の平均
速度、時間の計測は「転送速度計測」というフリーソフトを使用。
検証結果
[ダウンロード] 対象:QNAP-01
Windows 7、10共に若干ではあるがダウンロード速度の向上はみられた。
Windows 7 は SMB2.1が限界ではあるが、「476Mbps」もでるなら十分ではないかと思う。
[アップロード] 対象:QNAP-01
Windows 10 は大きく違いを見せた。
SMB2.1で1GB辺り「8.8秒」も早くなるならこれは体感できる。魅力的だ。
しかし、SMB2.0ではWindows 7の時よりもかなり遅い。速度が14%も減っている。
10が普及する時代にはWindows Server 2008相当のファイルサーバはもう少ないだろうからまぁ良いか。
SMB 3.0 はクライアント側だとWindows 7は対応していないため、Windows 10だけ計測を行った。
[ダウンロード] 対象:QNAP-02
[アップロード] 対象:QNAP-02
ダウンロード、アップロード共に500Mbpsを超える。
アップロードに関しては著しく伸びている。
ファイルサーバを頻繁にリプレイスすることもないだろうから、
まだWindows 10の SMB3.1.1を活かせる場面が限られてしまう。
総評
SMB 2.0 → 2.1 → 3.0 と、バージョンアップに合わせて、アクセス速度が向上している事を確認できた。
3年前の下位機種のQNAP-01でもファイルサーバとしては十分なパフォーマンスはだしている。
会社のファイルサーバがNAS(QNAP)なんてと思うかもしれませんが、
特別な要件もなければ圧倒的にコストパフォーマンスは高いです。
ファイルサーバだけのために一般的な1U又は、タワー型のサーバだと、
QNAPが2~3台買える価格になってしまう。
WindowsサーバならOSのライセンスに加え、CALも必要になってくるので更に差が開く。
安価にファイルサーバをリプレイスしたいのであれば、QNAPがオススメです。
ちなみに、QNAP自体のバックアップも別途ソフトウェアは買う必要なく、
https://www.atc.jp/nas-benchmark/安く上がるならUSB接続のHDDを買ってきて繋げ、GUIから少しの設定を入れてあげればOKです。
[ NASの性能評価 ]