前置き
中小企業様のファイルサーバのリプレイス案件で、古いWindows Serverから
コストパフォーマンスを優先してNAS(QNAP)にリプレイスしました。
NAS(QNAP)にリプレイスしたお客様から、「アクセス速度が早くなった!」とお声を頂いたりもしました。
そこで、QNAPのSMBのバージョンがなにか気になったので調べました。
※2016年に書いた記事を編集し再掲載しております。
SMBバージョンの調べ方
QNAPの公式FAQサイトによると、GUIからSMBを変更できるとありました。
しかし、実機から項目を探してみるも手元のQNAP2台ともそのような項目はありませんでした。
コマンドからSMBバージョンを確認できることが分かったためSSH接続することにしました。
- 機種名:TS-219P Ⅱ ※2012年購入
- ファームウェア:4.2.1 Build 20160601
- 機種名:TVS-863 ※2015年購入
- ファームウェア:4.2.0 Build 20151118
SMBバージョン確認コマンド
smb2status
機種名:TS-219P Ⅱ
[~] # smb2status
smbd (samba daemon) Version 3.6.25 smbd (samba daemon) is running. max protocol SMB 2.0 enable
機種名:TVS-863 [/] # smb2status smbd (samba daemon) Version 4.0.25 smbd (samba daemon) is running. max protocol SMB 2.1 enabled.
ポイント:SAMBAデーモンのバージョン = SMB バージョンではない
古い機種のTS-219Pは、最新ファームウェア(当時)でもSAMBAデーモンのバージョンがTVS-863よりも低い。
ファームウェアは最新までサポートしていても、古い機種のせいか、それとも下位機種のせいなのか、
GUIからSMBの変更もできないし、他にも色々と制限があるのだろう。
メーカーのドキュメントではQTS4.2でSMB 3.0をサポートし、QTS4.1はSMB 2.1となっている。
https://www.qnap.com/i/en/tutorial/con_show.php?op=showone&cid=184
SMBバージョン変更コマンド
smb2enable ・・・ SMB 2.0 に変更
smb21enable ・・・ SMB 2.1 に変更
smb3enable ・・・ SMB 3.0 に変更
早い話、smbまでコマンドを入力してtab補完を行い、「smb数字enable」と出てくるコマンド候補からsmb3enableがあれば、QTS 4.2上の最大値に変更できます。
機種名:TVS-863 [/] # smb[tab補完] smb21enable smb2disable smb2enable smb2status smb3enable smbtools
- TS-219P 初期値:SMB 2.0 最大値:SMB 2.1 ※smb3enableコマンド自体がない
- TVS-863 初期値:SMB 2.1 最大値:SMB 3.0
試しにSMB 3.0に変更したくなり実行する。
ポイント:SMB バージョン変更はSMBデーモン(サービス)が再起動する。
数十秒の間、共有フォルダが使えなくなるので注意!
機種名:TVS-863 [/] # smb3enable Shutting down SMB services: smbd nmbd. Shutting down winbindd services: winbindd. max protocol SMB 3.0 ... enabled. locks path was set to /share/CACHEDEV1_DATA/.locks Shutting down winbindd services: winbindd. Starting winbindd services: winbindd. Starting SMB services:. smbd (samba daemon) Version 4.0.25 smbd (samba daemon) is running. max protocol SMB 3.0 enabled.
元のSMB 2.1に戻したければ、「smb21enable」を実行すると切替えできます。
SMBバージョン サーバー・クライアント対応表
ファイルサーバー(QNAP)側のバージョンを確認し、変更できる事が分かりました。
SMBのバージョンについてざっくり説明すると、SMBバージョンの高い方が効率よくアクセスできます。
サーバー側をいくら最新にしても、SMBのバージョンは低い方に合わせるため、
クライアント(共有フォルダにアクセスするPC)側のバージョンが低いとサーバーを活かしきれません。
現在、業務で使用しているPCは Windows 7 が主流かと思います。
Windows 7 の SMBバージョンは 2.1であるため、
SMB 3.0以上のファイルサーバーにアクセスしても、SMB 2.1で通信することになります。
逆に、Windows Server 2003 R2や、2008、QNAP TS-219Pの初期値の状態だと、
サーバー側のSMBのバージョンが低いため、そちらにひっぱられSMB 1.0、2.0で通信します。
QNAP TS-219P は、初期値がSMB 2.0 運用だったため少し損をしていたようです。
互換性を保つためだったりとか、無駄な不具合がでないためだったりと、メーカーにも事情があるのでしょう。
お手軽ファイルサーバとしては大変優秀なので、余り深く考えたことはありませんでした。
長くなってしまったのでまた次回。
次回はSMBのバージョン違いによるアクセス速度の検証結果をまとめたいと思います。